学会概要

ごあいさつ

　このたび北海道社会福祉学会（2024－2025年度）の会長と務めさせていただくことになりました。
　少し自己紹介をさせていただきながら、北海道での社会福祉研究に対する問題意識と北海道社会福祉学会の会員のみなさまへのお願いを述べさせていただきます。
　私は大阪西成の生まれで大阪育ちです。生家から釜ヶ崎は徒歩圏内でした。そのため私の原風景には生活者の生活困窮が映り込むものでした。縁あって北海道には2度住んでいます。札幌の専門学校に4年（1997～2000年度）勤め、その後大阪に戻り、8年後（2008年度～）に改めて北海道にやってきました。トータルで21年北海道に住み、実習巡回や講演等で道内各地を訪問してきました。その間、私の研究の専門も高齢者の在宅福祉から地域福祉にシフトしていきました。そして、現在は、福祉の範疇を超えて産業興し・6次産業化など地域のテコ入れに活動の主体が移っています。その理由として、北海道では、法制度による社会福祉サービスや民間・住民による生活支援だけでは、地域社会での人々の生活を維持させることが極めて困難であり、地域生活課題や生活ニーズが生じる背景に、その地域特性が強く関係しており、そこにアプローチする必要を感じたからでした。
　ご存じの通り、北海道は広域分散型社会であり、令和6年1月1日時点で、人口は26年連続で減り、減少数は12年連続で全国の都道府県で最も多くなりました。高齢化率は33.1％（全国29.4％）で、最も高い歌志内市・夕張市は54.4％となりました。そして、179自治体のうち152自治体（84.9％）が過疎であり、人口戦略会議（2024）「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」では、「消滅可能性自治体」が117自治体（65.4％）と評価されています。加えて、179自治体全てが豪雪地帯で、うち86自治体（48.0％）は特別豪雪地帯に指定されています。生活保護率は近年減少傾向ですが、全国が1.62%のところ北海道は2.94％（令和4年度）でした。また、国土交通省＊によれば156自治体では「体系だったシステムとしての公共交通サービスは提供されておらず、マイカーが唯一不可欠な交通手段となっている」と報告しています。このように北海道の多くの自治体で、人口減少・高齢化に加えて過疎、雪、生活困窮、移動の問題が地域生活課題や生活ニーズを生じさせている大きな要因となっています。
　そのため、道産子の会員と私のような北海道の外からやってきた会員の両者が協力しあい、北海道の地域特性等を踏まえた社会福祉研究・実践を行う必要があると感じています。また、福祉・介護・保健・医療関連領域以外の都市・公共交通・住宅、産業・農業等の領域との研究が不可欠になると考えています。そこで、本学会の研究会等では北海道の生活の基盤に関わる異領域との交流もできればと希望しています。
　最後に会員のみなさまにお願いがあります。北海道社会福祉学会は日本社会福祉学会北海道地域ブロックを兼ねております。2026年度の日本社会福祉学会第74回秋季大会は北海道で開催されます。秋季大会の開催方式について方針が変更となり、これまでの大学等のホスト校による開催は第73回（同志社大学）で最後となり、第74回以降は、地域ブロック単位での開催となります。その初回が北海道地域ブロックとなります。現在、北海道社会福祉学会理事会で秋季大会開催のあり方を模索しているところです。第73回秋季大会終了後には、北海道地域ブロックとしての開催方法を会員のみなさまに明らかにいたします。そして、第74回秋季大会開催に向けて、大会実行委員会を発足させ、準備を進めて参ります。ご協力をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

＊：国土交通省「北海道における公共交通の姿」
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000186178.pdf

役員体制【任期：2022年度総会～2024年度総会】

事務局所在地

北海道社会福祉学会
〒061-0293
北海道石狩郡当別町金沢1757
北海道医療大学看護福祉学部　近藤 尚也 気付
連絡先：n-kondo☆hoku-iryo-u.ac.jp
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